日私教研からのお知らせ:所長室からのメッセージ

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日私教研からのお知らせ

まんじゅう怖い!?

№ 57 (2019年12月)

「知識偏重・詰め込み型教育を廃し思考力・判断力・表現力を伸ばすために大学入試を抜本的に変える」ことを目標に準備してきた大学入学共通テストの目玉、「国語・数学の記述式問題」、「英語4技能の民間試験活用」などの延期・見直しが突然発表されました。
元々その制度設計には問題点が山積、日本私立中学高等学校連合会はこれを指摘し、改善を求める活動をずっと行ってきました。それらの大半が解決しないまま不本意ながら当該生徒にその準備を始めさせざるを得ませんでした。ところがここへ来て導入見送り、その場に呆然と立ち尽くす受験対策中の生徒たちの姿が目に浮かぶような出来事でした。
そんな騒ぎの中、当研究所の特別招聘研究員である広石英記先生がカナダ・アメリカの教育視察を終えて帰国されました。現地のホットな情報と様子について、所員全員が集まり話を聞くことができました。先生によるとアメリカでもカナダでも課題解決型の学習は当たり前で、実にのびのびと課題を探し、その解決を通して学びを深めているとのこと、始まる前に頓挫する我が国からすればうらやましい限りです。
また、広石先生は現地の状況をより深く理解するための前段として学習手法の転換について図を示しながらこんな話もされました。
学力(知識・技能)を饅頭の餡に例えれば、実践・活用力(思考力・判断力・表現力)は饅頭の皮に相当する、皮だけでもだめ、餡だけでもだめ、皮と餡がほどよいバランスを保ったとき、素晴らしい饅頭ができ、さらにそれを応用して探究型の深い学びを体験することができる、食いしん坊の私には現地の情報以上に何か胸にストンと落ちる話でした。
今回の騒ぎは表面的に見れば報道にある通りですが、そればかりではないと私は思っています。その一つに入試改革(饅頭)を怖がり、現状維持を望む教育関係者が大勢居たことも事実だと思います。そんなことを考えていたら不謹慎ながら古典落語の名作「まんじゅう怖い」を思い出しました。
長屋の若い衆が集まり、怖いものの話をする、八は怖いものなど無いと言い張るが、やがて小さな声で「饅頭」と言う、それを聞いた皆はあんなうまいものが怖いわけはない、栗饅頭、酒饅頭・・・。饅頭の名前を挙げるたびに八は青ざめ、隣の部屋で布団を壁って寝てしまう、八をもっとからかってやろうと皆で饅頭を買ってきて八の枕元に積み上げ、障子の影から様子を伺っていると、やがて目を覚ました八は大量の饅頭を見て「ヒエー!饅頭怖いー」と泣きながら両手に饅頭を持ちパクパクと食べ始める。

熊「八、お前が饅頭怖いって言ったのは嘘だろ! お前の本当に怖いものは何だ!」
八「今は渋いお茶(従来型入試)が一杯怖い」
お後がよろしいようで・・・・・

所長 中川武夫

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