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日私教研からのお知らせ

実は、クリエーターの仕事こそAIに代替される!?

№ 56 (2019年10月)

先日、前人工知能学会会長で国立情報学研究所・総合研究大学院大学教授の山田誠二先生から届いたメールで、近著を出されたことを知り、早速、その中の一冊「本当は、ずっと愚かで、はるかに使えるAI -近未来人工知能ロードマップ」を購入し、読ませていただきました。内容は私たち素人にもわかりやすく、AIに対する漠然としたイメージしか持たない私にとって、まさに目からウロコの項目が並びます。その中の一つが冒頭の「実は、クリエーターの仕事こそAIに代替される!?」でした。

「AIの発達は大量の失業者を生み出す!」2013年オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授とフレイ博士が発表した「雇用の未来」、そして2016年同大学の両氏と野村総合研究所による共同研究の調査レポートによると、10~20年後には日本の労働人口の約49%がAIやロボットにより代替可能になる・・・大変ショッキングな未来予測で、消える職業、残る職業等はマスコミに大きく取り上げられました。
その中でもAIに代替されにくい職業の代表格がクリエーターの仕事でした。クリエイティブな仕事をする人といえば様々な企画を考える人、作詞家、作曲家、小説家、研究職などがあげられますが、誰も思いつかないような斬新なアイデアで私たちを魅了する、どんなにAIが発達しても決して代替されることがないと誰もが思っていました。
しかし山田先生は、米国の実業家ジェームス・W・ヤングの著者「アイデアのつくり方」から「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせにすぎない」を取り上げ、オリジナルのアイデアなどそもそも存在しない、膨大な既存の要素からどれかを選び出し組み合わせるのであれば、それはAIの世界では「探索」にすぎない、その作業はAIが最も得意とすることだというのです。
しかし、AIが素早く誰も思いつかなかった新しい組み合わせを見つけたとしてもそれを評価するタスクは持っていません。素晴らしい・美しい・心地よい等々の評価は暗黙知であることが多く数式やプログラムは書けない、つまり今のところ人間にしか評価できないことだといいます。
山田先生はクリエイティブな仕事においてAIがアイデアの組み合わせを探し、人間がそれを評価するという役割分担になるだろうと書かれています。
私たちはとかく人間対AIと考えがちですが、むしろ人間とAIの協働の中に未来があると改めて考えさせられる一冊でした。

AIを駆使した正確な気象予報(紅葉前線予測)に従い、美しい紅葉を愛でながら一献、ウキウキと出かけていったらそこには先客(ロボット)が居た!? といったことが起こらないうちに今年も出かけよう!と思う今日この頃です。

所長 中川武夫

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